森に覆われた外見からは、一見、植物園か何かかと思ってしまいますが、周囲の看板などからは、ここが道の駅なのだと分かります。農産物直売所をはじめ、レストラン、パン工房などが集まる複合施設「道の駅内子フレッシュパークからり」。2000年 には農業構造改善地区表彰農林水産大臣賞受賞(交流部門)を受賞、「関西・中国・四国じゃらん2016年7月号」の道の駅ランキングで、四国人気No.1に輝くなど、各方面から注目を浴びている道の駅です。
まず、店舗に入って出迎えてくれるのは、内子町内で栽培された豊富な野菜や果物。ここ、「からり直売所」では、内子町の約380名の生産者が出荷する個性豊かな農産物のほか、内子町産豚肉を使ったソーセージなどの加工品も販売しています。そこから少し奥に進むと、年間を通すと70種類にもなるというアイス・シャーベット工房や、大判焼き、たこ焼きを販売するショップがあります。
さらに奥に進むと今度は焼きたてパンのいい香りが。「ふれあい広場」と呼ばれる場所には、「からりパン工房」と「ハンバーガーショップからり」があり、内子町産の素材を使ったオリジナル商品を展開しています。
そして横を流れる清流小田川の水音に耳を傾けながら、木漏れ日が差し込む道を歩いて行くと、今度は木々に覆われた「レストランからり」が見えてきます。
まるで、内子町の自然をそのまま持ってきたような、回遊性のある心地の良い“癒しの空間”が、そこには広がっています。
「からり」の店内を回っていると、どこを見てもおいしそうなものばかりで、ついつい目移りしてしまいます。ここで、からりの施設と主力の商品をもう少し詳しくご紹介します。
まず、パン工房で販売している「からりブレッド」は、もっちりとした食感とほのかな小麦の甘みが特徴で、バターやジャムを付けなくてもしっかりと味がすると予約客が出るほどの人気商品。また、「からり燻製工房」で、専属の職人が手作りするハム・ソーセージは、内子町に1軒しかない養豚農家から仕入れた「内子豚」という豚肉を使用。香辛料は本場ドイツから輸入、フレッシュハーブは内子産を使用するなど素材にもとことんこだわっています。
施設内の加工所では、減農薬の契約栽培トマト(もちろん内子町産!)のみを使用したトマトソース・トマトケチャップを製造。他にも、内子町内で栽培される柑橘「じゃばら」、その機能性の高さから近年注目を浴びている「もち麦」うどんの加工の他、店内のアイス工房やパン工房向けの加工材料も製造。自社で素材の調達、加工まで一貫して行うことで、「ここにしかないこだわりの商品」を生み出しています。
訪ねたこの日は、施設内でも最も見晴らしがよい絶好の場所に建つという「レストランからり」で昼食を頂くことに。実はこのレストラン、2015年に日本経済新聞NIKKEIプラス1「何でもランキングおすすめの観光列車」で1位になった、JR四国の観光列車「伊予灘ものがたり」内のお弁当も担当。そのお弁当の味と見た目の美しさが評価されたことで、近年さらに人気を集めているレストランです。
メニューは、「内子豚の味噌焼き」といった和風メニューから、オムライスやハンバーグなどの洋風メニューまで様々。今回は「内子豚ハム・ソーセージ」のセットをチョイス。付け合せのパンはもちろん、からりパン工房で焼いたものです。
しかし、このレストランの人気の秘密は、メインメニューだけではありません。料理を頼んだ人は、最低でも15種類の前菜、サラダが、バイキング形式でなんと食べ放題! この日も、内子町産の素材をふんだんに使った様々な種類の惣菜を味わえるとあって、お子さんから年配の方まで幅広い世代の方々が利用していました。
「“内子町を守るために”という思いが一貫してあるんです」。
そう語るのは、事業・特産部課長の山田重美さん(写真左)。様々な事業を行う「からり」ですが、内子町の産業を守るため、加工品でも内子町産の素材にとにかくこだわり、仕入れは一切せず、製造、販売まで一貫して行っています。「安売りではなく、ブランド化を目指した運営」を心がけているのだといいます。
「からり」という店名に込められた意味を聞くと、「果楽里」果物を楽しむ里、「花楽里」花を楽しむ里、「香楽里」香りを楽しむ里、「加楽里」加工することを楽しむ里、そして「カラリ」と晴れ晴れした気分、「カラリ」としたすがすがしい時間、「カラリ」とした爽やかな人間関係、出会いを楽しむ場所という、様々な意味を含んでいるのだと教えてくれました。
こうした運営方針は、農産物直売所でのトレーサビリティにも反映されています。
「安心安全」をうたう直売所では、平成17年からITを利用したトレーサビリティの仕組みをいち早く導入。栽培履歴の管理はもちろんのこと、直売所に備え付けた機械に農産物に貼付されているバーコードをかざすと、その栽培履歴や生産者の情報を見ることができます。
「からり」をぶらぶらと歩いていると、ただ買い物をする人だけでなく、様々な人が集まっていることが分かります。
川沿いに設けられたベンチでパンをかじる人、購入したお惣菜を囲みながら軽いお昼を食べるご夫婦、脇に設けられた階段から小田川の川岸へ下り、川遊びに興じる親子連れ、犬の散歩に来たお年寄り―、思い思いにゆっくりとこの空間全体を楽しむことができるのも、「からり」に人が集まる大きな理由のひとつなのでしょう。
平成6年、「内の子市場」という農産物直売所から始まり、平成8年に現在の基礎である直売所と情報センターが開設、平成9年に株式会社内子フレッシュパークからりを創立し、様々な事業を進めながら、現在に至る同店。開店から20年余り、小さな苗木だった木々は、今では立派な森となり、穏やかな木漏れ日を地面に落としています。ベンチに座り、ゆらゆらと揺れる緑の葉を眺めていると、とても穏やかな気持ちになります。この空間で、日々の疲れを癒す人は思った以上に多いのかもしれません。
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