直売所

直売所の買い物が楽しい、5つの理由

野菜、夫婦で楽しむ

 農産物直売所で買い物する最大の楽しさは、旬の、今ここにしかない商品に出会えることにあります。1つ1つの棚を品定めしながら、行きつ、戻りつ、なかなか買い物が進まないのも直売所ならではです。
 直売所の商品の並び方やアイテム数は、季節だけではなく、朝と夕でも刻々と変わっていきます。生産者は近くにいるので、お客様の多い日には何度も採りたての農産物や作りたての惣菜が入荷します。手作りの菓子や弁当など人気商品は、出荷者が棚に並べる時間を狙って買い物に来る常連客もいます。
 農産物の出来映えは天候に左右されるので、大雪や嵐の日には入荷が止まる時もあります。その一方、最盛期には見渡す限り、ナスとトマトだらけになるのも産地ならでは。直売所に来るとワクワクして、つい沢山買ってしまう人も多いようです。
 そんな直売所での買い物が楽しい、5つの理由をご紹介します。

1 食べ比べができ、色んな味を試せる

 柑橘産地の旬の店内は、オレンジ・イエローの光が放つ、まるで柑橘図鑑か標本のような売り場となります。直売所は多品種の販売が売りです。ブドウやリンゴなどの果樹だけでなく、枝豆、トウモロコシ、ナス、ジャガイモなど野菜でさえも、品種名で販売されています。多くの直売所ではこれらを品種ごとに店頭で試食し、自分好みの味を探し求めることができます。毎年新品種が現れる果樹などは、一度食べてから買い求める事ができます。
 直売所からは宅配も出来るので、自分好みの品種を組み合わせたオリジナルの詰め合わせを、自宅や友人に贈る事もできます。世帯人数が少ない今は、ブランド化された高級果樹を一箱もらうよりも、不揃いでもお手頃価格でキンカン、デコポン、はるみ、いよかん、レモンなどの柑橘詰め合わせの方が喜ばれたりします。
 自分好みの美味しい旬の味を、少しずつ組み合わせ、まとめ買いが出来るのも直売所の楽しさです。

多品種の柑橘があふれる、JAおちいまばりの「さいさいきて屋」(愛媛県今治市)

2 特産品にとことんこだわる商品アイテム

 1つの商品でも、様々な形態で売られているのが直売所の魅力です。
 例えば、クルミの産地では、殻付き、むきグルミ、クルミパウダーからクルミ割り器まで売られています。クルミの郷土菓子やクルミ餅もありますし、レストランではクルミにちなんだ定食やスイーツも味わえます。壁に目を向ければ、多品種のクルミの標本が飾られていますし、店のスタッフや生産者もクルミに関する知識は抜群です。
 例えば、一見地味な里芋も、旬の時期にはオールスターが揃います。一見ただの茶色のお芋ですが、掲示されている商品解説と見比べると、形、縞、ねばりなどのそれぞれの個性が浮かび上がってきます。
 開店直後の直売所には、地元の飲食店やホテルの料理人などもよく見かけます。スーパーや八百屋には流通していない良質な地場食材の市場として、地元の直売所が認知されているようです。
 たとえ店に並んでいなくとも、「この商品の、この部分を、これだけ欲しい」とリクエストすれば、生産者が店に届けてくれたりするのも産地が近いからこそできるサービスです。

  • 雷電(らいでん)くるみの里(長野県東御市(とうみし))
  • とれたて食楽部(くらぶ)(静岡県袋井市)

3 ご当地の食文化に出会える

 江戸から明治にかけ、クジラの水揚げ地として九州全域に鯨肉を出荷していた長崎県では、今も鯨肉の食文化が残っています。居酒屋でも鯨の竜田揚げなどが人気メニューとしてあり、長崎県の鯨肉消費は日本一とも言われています。
水揚げ地であった大村湾に面する東彼杵町の道の駅の直売所は、今も地元の鯨食文化を支えています。生食から加工・冷凍品まで、ここに来ればいつでも良質な鯨肉が買える店として知られています。もちろん食堂ではクジラ料理を味わうことも出来ます。
 冬の長い地域では、漬物や発酵の食文化が発達してきました。例えば、最盛期の秋田の直売所には、白い生の大根、茶色にいぶされた大根、そして完成した「いぶりがっこ」(大根を燻製した漬物)が店に揃います。「いぶりがっこ」自体も作り手により味や製法に工夫があるため、一見同じような商品が生産者ごとにズラリと並びます。
 直売所には地域の漬物や保存食など郷土の味が集まっているので、ご当地の本物の食文化に出会えます。

  • 道の駅「彼杵(そのぎ)の荘」(長崎県東彼杵町(ひがしそのぎまち))
  • 道の駅雁の里せんなん「雁の里まごころハウス」(秋田県美郷町)

4 農産物の本当の旬を味わえる

 最近は雪下で熟成されたキャベツや大根などの野菜は甘みが増すと人気です。ですが、やはり雪が溶け、春の息吹きが感じられる早春からの直売所は華やかです。フキノトウ、山ウド、タケノコ、コシアブラ、タラの芽、ウルイなど、ほとんど流通にはのらないような春の山菜や野草が直売所にあふれます。
 西日本ではイタドリ、ハチク、ツクシ。新潟や東北ではコゴミやアケビの新芽(木の芽)。北海道では大きなフキなどが新緑の頃に直売所で出会える商品です。 
 これらを用いた郷土食や保存食も地域の食文化として直売所が伝えています。
 ソラマメ、枝豆などの豆類やトウモロコシ、メロンやスイカ、モモやブドウなどの最盛期はその年によってズレがありますし、旬が始まったと思えば一気に駆け抜けて、品種も移り変わります。なので、お目当ての品目や品種があるならば、時々直売所を訪ねたり、店のサイトなどで生育をチェックしておくことも大事です。人気商品の入荷予定をSNSなどで発信している店も多くあります。
  今しか食べられないのが希少価値を感じる魅力です。万一、旬を逃してしまってもご安心を。旬の味が瓶詰、缶詰、冷凍品、乾物になって売られていることもあります。まずはお店のスタッフにお尋ね下さい。

  • 「天空の郷さんさん」(愛媛県久万高原町)
  • 道の駅 南魚沼「雪あかり」・四季味わい館(新潟県南魚沼市)

5 話題性抜群、驚きの一品がある

 直売所では驚きの商品にも出会えます。いつ入荷しているのか不確かな場合も多いですが、店でその商品に出会えたら、大人も子どもも触りたくなったり、誰かに話したくなったりする品々です。
 例えば、ダチョウの卵。大きさ、価格、扱い方に躊躇しそうですが、お土産や集まりに持ち込めば、話題性は抜群。一体どんな味がするのか、何人分の卵焼きが出来るか、子ども達も興味深々でしょう。
 山村の直売所では熊一頭の毛皮なども普通に売られています。
 国産バナナも少しずつ見かけるようになりました。それを一房まるごと売り、希望があれば生産現場を見せてくれるのも直売所ならでは。バナナを売りたいならば、海外から仕入れるのではなく、自分達で作ってしまおうという意気込みが、直売所を担う生産者達の底力です。

左上、国産バナナ(おおむら夢ファームシュシュ(長崎県大村市))。右、その生産現場のハウス。左下、ダチョウの卵(道の駅「早風の郷風和里」(愛媛県松山市))

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