農家民宿

小田原市早川 海と食をこよなく愛す夫婦が営む漁家民宿

特産品、子供向け、家族で楽しむ、料理がおいしい、海沿い、夫婦で楽しむ

小田原駅から一つ先、早川駅周辺をぶらり歩き

 JR東京駅から東海道線で電車に揺られること約1時間半。小田原駅の一つ先早川駅に到着しました。

小田原漁港

 潮の香りに誘われ、駅から歩くことほんの5分で小田原港が見えてきます。港には公設の魚市場が併設されており、周辺には鮮度満点の魚料理を提供するお店が建ち並び、平日にもかかわらず美味い魚目当ての観光客を多く見かけました。

職人ワザが生み出す鮮度抜群鯵料理

 小田原漁港に来たら味わってみたいのが鯵料理。刺身か?フライか?・・・悩みながら飲食店街をさまよっていると、目を引くメニュー看板に行き当たりました。「さじるし食堂」で提供している名物の「半生アジフライ御膳」。今まで食べたことのない斬新なアイディアの鯵フライです。外はサックリ、中はしっとりレアな活きの良い鯵の身をダブルで満喫できる1日20食限定の定食です。

漁港の駅TOTOCO小田原

 漁港からちょっと足を伸ばして西湘バイパス沿の道路を熱海伊豆方面に徒歩で約10分。左手に目新しい建物が迫ってきます。漁港の駅 TOTOCO小田原です。1階は隣の小田原漁港直送の地魚や干物、かまぼこ等の加工品の他、野菜、柑橘も種類豊富に取り揃えた地場物産販売コーナー。2~3階には飲食スペースも備え、テラス席から相模湾のオーシャンビューを眺めながら食事が楽しめます。

 

漁港の駅 TOTOCO小田原

海人(うみんちゅ)の家 民宿くやま

 お世話になる「民宿くやま」に向かいます。宿までの交通アクセスがとても良く、早川駅から歩いても約15分。小田原駅で箱根登山電車に乗り換え、1駅目の箱根板橋駅下車徒歩約10分という電車でも気軽に訪れることができる距離です。また小田原箱根道路やターンパイク箱根の入口もすぐそば、車で伊豆箱根方面へもスムーズに向かえます。地図アプリを頼りに、ターンパイク箱根の入口を目印に、通りから住宅街に分け入ると、奥まった場所に海と白浜を思わせる外壁の一軒家が目にとまりました。

海人の家 民宿くやま

ゲストがくつろげる空間を提供

 自宅1階の居間をゲスト用の客間として提供。奥さんのセンスが光るリビングのインテリアやハーブガーデン、庭に置かれた椅子でゆったり過ごすことができるスペースなど宿泊客を癒やしてくれる嗜好が随所にうかがえます。ファミリー層はもちろん夫婦や友人同士の滞在でも自宅のようにゆったりくつろげそうです。(くやまのゲストスペースがスライドショーでご覧いただけます。)

小田原沖で獲れた地魚の良さを引き出す調理法

 宿のご主人高橋昭伸さんは現役の漁師、獲ってきた魚を手際よくさばいて夕食の材料を準備します。奥様の暢子さんが種類豊富な地魚のメニューを提供してくださいました。(画面をクリックすると動画が再生されます。)

種類豊富な地魚料理に圧倒

 地元小田原漁港水揚げの超新鮮な地魚が豪華な料理に仕立てられ次々にテーブルに並びます。暢子さん考案の魚に合わせた調味料も凝っています。カマスの炙りには地元早川で採れるシークヮーサーが添えられていて、絞って口に運ぶと、炙ったカマスの皮の香ばしさ、上品な脂と柑橘の爽やかな酸味、岩塩の塩味が相まって何とも言えません。また身が柔らかいウルメイワシの刺身にはショウガと寿司酢が合うということで試してみると、とろっとした身を寿司酢のまろやかな甘酸っぱさが包み込みさっぱりといただけました。
①メアジの刺身、②カマスの炙り皮に岩塩が振りかけてあります。③左からムロアジ、エボダイ、カマス、手前キハダマグロのフライ、④ウルメイワシの刺身、⑤イサキの刺身、⑥小田原産ブランド米「はるみ」の新米ご飯、⑦カマスのあら汁、⑧岩塩、⑨寿司酢

※夕食メニュー ※画像は2人前を想定、季節や漁で獲れた魚によってメニューは変わります。

石垣山一夜城まで早朝ウォーキング

 くやまに宿泊したら行ってみたいのが大河ドラマにも登場した「石垣山一夜城」。前日、暢子さんから山頂までの道順と日の出のおおよその時刻を聞いて翌日5時半に起床。まだ薄暗いみかん畑が広がるつづら折りの坂道を40~50分、途中にあるビューポイントで休憩を取りながら歩きました。秋の好天にも恵まれ、頂上にある整備された城跡の公園と本丸から相模湾を一望する景色はそれまでの疲れを忘れさせてくれるほどの一大パノラマでした。(石垣山一夜城までの道のりと城跡公園の景色ががスライドショーでご覧いただけます。)

朝食は打って変わって地魚を南欧テイストで

 夕食から一変、朝食は洋風のメニューがテーブルを彩りました。暢子さんが南欧風なアレンジを加え新鮮な地魚の味が一段と華やかになります。またテーブルに添えられた蜂蜜は、蜂蜜マイスターでもある暢子さん一推しの近隣南足柄のミカンの花から採取した蜜で、とても爽やかで上品な甘さが添えられたパンにピッタリでした。
①本カマスの塩コショウグリル、②メアジ刺身のシソベージュソース、③イサキのカルパッチョ、④ウルメイワシのアヒージョ、⑥地元早川の早生摘果みかん、⑦メアジのあらの味噌汁

※季節や漁で獲れた魚によってメニューは変わります。

試練を経て“NEOくやま”がゆっくり再始動

 ご主人の昭伸さんは神奈川、妻の暢子さんは東京と都会で生まれ育った二人。一人旅好きの暢子さんは以前から旅先で家族のように温かく受け入れてくれる民宿のもてなしに、いつか自分でもやってみたいと夢を描いていました。二人の出会いは、昭伸さんが働いていた沖縄波照間島の民宿。その後2年間のブランクがありましたが、昭伸さんが千葉で漁師をやっていることを聞きつけた暢子さんが昭伸さんのもとを訪れ、互いに抱いていた民宿開業への熱い思いが二人の距離を縮め、家族への第一歩を踏み出すことになりました。
 子供も授かり、昭伸さんが安定して働けるより大きな漁場を求め、漁業組合の職員として受け入れてくれる神奈川県小田原市への移住を決意しました。そして土地を探し漁港に近い小田原市早川に居を構えることを決意。自宅を漁家民宿として開業をしようと考えましたが、さてどうすれば民宿が開業できるか全く知る由もありません。そこでたどり着いたのがまちむら交流きこうの農林漁業体験民宿登録制度でした。早速、電話でコンタクトを取り、機構職員の伴走により、家を建てるのと同時進行で民宿開業に必要な様々な申請をクリアさせ、神奈川県で第1号の規制緩和型農家民宿として2009年の開業に至りました。
 民宿の名前「くやま」とは、沖縄民謡「安里屋(あさどや)ユンタ」に出てくる絶世の美女「安里屋クヤマ」から銘々したとのことで、ご夫婦が出会った大好きな沖縄の海への思いが込められています。
 料理を食べるのも作るのも大好きなお二人。魚介類、柑橘、野菜、米と海山の食材に事欠かないこの小田原で旬の美味しいものを訪れるお客様に気軽に楽しんでもらおうというお二人の気持ちが表れています。またファミリーの宿泊客向けにお子さんと一緒に料理作りができる体験メニューや近くの海岸で拾ってきた貝で作るクラフト体験も準備しています。
 「宿を訪れるお客様も新型コロナウイルス感染症蔓延の前後で変化がありました。一日一組限定ということから、今までホテル泊のみ、民宿での宿泊体験をされたことが無いご家族に安心してご利用いただき、その後とても気に入ったというお話をいただきました。」と暢子さんは開業からコロナを経た中での違いを感じていました。
 そんな中、2023年の年初に暢子さんは大病を患い、8か月間宿を休業せざるを得なくなりました。もうやめようかと思った時期もありましたが、心配する常連のお客様から入院中に励ましの電話や手紙をいただき、それに背中を押され、自分のやってきたことは間違っていなかったということを改めて心に刻み、新しい「くやま」をスタートすることを決意。2023年9月30日に“新生くやま”が再開しました。再スタートしたばかりなので、当面は今まで宿泊されたお客様に泊まっていただくスタイルで営業する予定です。
 友だちのように仲の良いご夫妻、食事の準備中も笑いが絶えずお二人の連携の良さが印象に残ります。インタビューの最後に昭伸さんが言った「親戚の家に来たような気持ちでゆったり泊まってほしい。」この言葉にお客様への思いがとても溢れていることを強く感じました。

また新たな一歩を踏み出した民宿くやま 高橋昭伸・暢子夫妻

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