紅葉の時期を迎えた関東で、栃木県塩谷町、日光市、栗山郷と群馬県片品村を訪れました。
日光というと日光東照宮や中禅寺湖の辺りを思い出しますが、ちょっと足を延ばすと奥日光があり隠れた観光スポットです。この時期、赤や黄色の溶け込む見事な紅葉が見られます。
最初の目的地がある栃木県塩谷町までは、宇都宮駅からバスに乗り約60分で行くことができます。
まず最初に訪れたのは、星ふる学校「くまの木」。124年間の歴史に幕を閉じた小学校を改築した施設で、宿泊や体験プログラム、地域の交流活動など年間を通して様々な事業を行っています。木造校舎は当時の面影を残し、来る者皆に郷愁を感じさせます。
宿泊部屋には教室を使用しており、子供の頃のワクワク感を思い出させます。
校庭には今ではなかなか見られなくなった二宮金次郎の像や天体ドームも!冒険心をくすぐる楽しみが色々な所に隠れていました。
今回こちらでは地元の食材をたっぷり使った昼食(しおやの秋プレート)を頂きました。くまの木のスタッフさんが育てた新米のおにぎりに、ゴボウを贅沢にたっぷり使用したポタージュ、里芋のゴマ味噌がらめに地元のイワナのフライやヤシオポークの紅茶煮など盛りだくさん!旬の地の恵を満喫しました。
お腹を満たした後に訪れたのは同じく塩谷町にある「道の駅 湧水の郷しおや」です。平成24年に地域の都市農村交流と産業振興のための情報発信施設としてオープンしました。ここからの風景は格別!澄んだ空気の向こうに日光連山や高原山などを望むことができます。
施設内の直売所には新鮮な地元野菜や特産品、加工品が並び、何を買おうか迷ってしまいます。
飲食館もあり、鬼怒川でとれた鮎や地元食材を使用した軽食、スイーツも味わうことができます。こちらもどれにしようか迷ってしまいますね。
華厳の滝、裏見の滝と共に日光三大名瀑の一つに数えられている霧降ノ滝に向かいます。霧降川にかかる滝は上下二段になっており、高さが75mあります。山の中にある滝を眺めていると山の上部と下部では気温差で紅葉の進み具合が異なっていることに気づきます。山の上部は紅葉も終わりがけですが、中腹に向かって徐々に紅葉が増していきます。山肌で紅葉の経過を見ることができる貴重な風景です。周囲の紅葉と溶け合った滝の姿に思わず吐息がでます。
霧降高原をさらに進むと標高1,300mの所に大笹牧場はあります。山裾に広がる牧場はただたただ広い!の一言。高原を進んでも進んでも牧草地が広がり、その広大さにびっくりします。緑の草原に映える牛たち、ゆったりと草を食むその姿を眺めているとこちらの気持ちも癒やされるから不思議です。
レストハウスには希少なブラウンスイス牛から製造された牛乳やソフトクリーム、ヨーグルトにチーズなど様々な商品を販売しており、どれもおいしそう!あっちをぐるぐるこっちをぐるぐる、お土産を何にしようか迷ってしまいます。
ソフトクリームは濃厚でまろやか。スイーツ好きにはたまりません。
いよいよ本日のお宿「民宿 福冨士」に向かいます。宿のある日光市栗山郷が「家康の里」といわれる所以は、戊辰戦争の際に日光東照宮にある家康のご神体を朝廷軍から守るために会津へ運んでいましたが、情勢が困難となり断念せざるをえず、道中にあったこの栗山にご神体を隠したことによります。郷内の栗山東照宮には家康が祭られています。
「民宿 福冨士」は創業38年の宿。女将さん、ご主人、お姑さんの三人で切り盛りしています。
お客様を「おかえりなさい」の気持ちでお迎えする、という言葉の通り、着いた瞬間からまるで実家に帰った時のようなどこかほっとした気持ちになります。
名物は女将さん!と言われるほど、その人柄や温かいおもてなしにファンの多い、みっちゃんこと女将の小栗美智子さん。お出迎えから食事、寝る時まで楽しい会話や細やかな心配りが耐えません。お客様の約6割がリピーターというのもうなずけます。
ご主人との息の合った連携プレーも素晴らしく、女将さんがお客様の対応をしている間にご主人がいつの間にか裏方の作業を全て行ってくれています。女将さんが太陽ならご主人はまさに月!お二人の息があってこそできるおもてなしです。
いよいよお楽しみの夕食です。いろりの周りには鮎、ウズラ、鴨、鹿、ばんだい餅、一升ベラなど山の幸や珍味が沢山!
そしてこれは・・・
サンショウウオ!?
サンショウウオって食べられるんですね!恐る恐る食べてみたのですが、これがおいしいんです!まさに珍味ですね。
食事中もみっちゃんとの楽しい会話が続き、部屋中笑い声が絶えません。来訪者同士の枠を超えてみんなで楽しむことができる、明日からの元気をもらって帰れる、そんなお宿です。
翌朝、みっちゃんとの別れを名残惜しく思いながら二日目がスタートです。
まずは瀬戸合峡に向かいます。瀬戸合峡は川俣ダムの下流にあり、高さ100mの凝灰岩の断崖が約2kmに渡って続きます。ダムの対岸には「渡らっしゃい吊り橋」があり、そこから見る赤や黄色の紅葉と断崖とのコントラストが素晴らしい景色を作り出しています。吊り橋までの遊歩道を紅葉を見ながらゆっくり散歩できるのもこの時期の特権です。
川俣ダムをさらに奥に進み、川俣温泉の入口にある間欠泉に向かいます。約60分おきに熱湯が噴き出すということで、滞在時間中に見られるかはまさに運次第。祈るような気持ちで水蒸気口を見守ります。
すると
すごい勢いでお湯が吹き上がりました!!まるで私たちの到着を待ってくれていたかのようなタイミングに皆さん大興奮です。
興奮した気持ちが覚めないなか、間欠泉を後にしさらに奥日光を進みます。湯ノ湖は周囲約3km、三方を山に囲まれ、どこか神秘的な雰囲気が漂います。澄んだ湖畔に山と紅葉が映り込む風景に心が洗われます。
奥日光をあとにし、ツアー最後の目的地、群馬県片品村の農家民宿「弘化の庄かしや」へ向かいます。江戸時代の弘化4年創業の15代続く歴史あるお宅の居間には江戸時代の書簡や調度品等も置かれており、まるで博物館のようです。
こちらでは地元産物をたっぷり使用した昼食を頂きました。地域自慢の豆腐に、特産品の花豆や舞茸など旬の食材がたくさん!りんごの天ぷらに皆さんびっくり!初めて食べましたが甘さが増してとてもおいしいんです。家でもぜひ挑戦してみたいですね。どれも素材の味を大切にしたお料理で、ほっこり温かい気持ちになります。
女将の入澤眞理呼さんは約30年前に神奈川から片品村へ嫁いできました。当時村では若い女性が参画できる場がなかったのですが、村のために何かしたいと一念発起し、村の若手のお嫁さんが中心となって女性組織を立ち上げました。地域をよくするためにはどうしたらいいか、会員で話し合い、女性ならではの視点で活動を広げていきました。村の人々の温かい協力のもと、現在もその活動は続いています。
現在は地元の高校と連携した「ハートフルホーム・システム」(下宿制度)で学生の受入れも行っています。時代に合わせ色々な事業にチャレンジしているんですね。
また農家民宿とともにレストランも開業し、息子さん夫婦と一緒にさらに活躍の場を広げています。
今回のツアーでは紅葉の中、二軒の農家民宿を訪ねました。宿を営むきっかけや形は様々ですが、共通しているのはお客様へのおもてなしの心と、地元を元気にしたい、好きになってもらいたいという強い想いのように感じられました。
宿を営む中で大変なこともたくさんありますが、お客様の喜ぶ顔が原動力となり毎日頑張れるとおっしゃっていました。女将さん達の明るく前向きな気持ちが、来る人皆を癒し、また来たいと思わせてくれるのでしょう。
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