鳥羽の観光というとジュゴンで有名な「鳥羽水族館」や、世界で初めて真珠の養殖に成功した「ミキモト真珠島」が有名。もちろんそれらも素晴らしいのですが、観光客の多くがそうした施設だけ巡り、鳥羽の町を素通りしてしまうそう。それは非常にもったいない!そこで、今回は、鳥羽をベースに海のアクティビティや町歩きなどの多彩なツアーを催行している「海島遊民くらぶ」のツアーに参加してみました。
本日参加したのは、辺りが薄暗くなる夕方からスタートする「海城ナイトウォーク」。なんとも魅力的な名前に期待が高まります。集合は鳥羽の街中にある「海島遊民くらぶ」のオフィス。まずは、本日のガイドのきくちゃんから、鳥羽の自然環境や簡単な歴史について教わります。
続いて配られたのは・・・
ん?お箸?よくわからないままポケットにお箸を入れて、いざ出発進行〜。
まずむかったのは鳥羽城跡。このお城は戦国時代末期、織田信長のもとで数々の戦績をあげた九鬼水軍率いる九鬼嘉隆が築城したもので、当時は四方を海に囲まれた「海城」でした。大手門は海に開いた水門で、内陸川は堀を巡らせ3つの橋で連絡するという全国的にも珍しい設計だったとか。しかしなんと明治時代の廃藩置県の際に「無用の長物」として取り壊しに。跡地には旧鳥羽小学校、旧鳥羽幼稚園、鳥羽市役所、市民文化会館が建設されました。
現代ならば大切な文化財として残されるだろうに、もったいないことをしたものだ、とガイドのきくちゃんは残念そうに語ります。城は取り壊されてしまいましたが、小高い丘の上にある城山公園は眺めが良いそう。ちょっと行ってみましょう。
石段を登り、三の丸広場である城山公園にでると、どこからともなくホラ貝の音が。
もしや九鬼水軍の武士?違います。この方はこの地に生まれ、鳥羽をこよなく愛する井村さん。市会議員を務める傍らこの地に伝わる九鬼水軍太古を復活、継承に努めています。この日も迫力ある太古を披露してくださいました。
水軍を鼓舞するかのような激しい太鼓の音色に雄壮な武将たちの姿が目に浮かぶよう。お城は取り壊されてしまいましたが、この地に伝わる文化はこうして人の手によって継承されていくんですね。
城跡を後にし向かったのはお寿司屋さん「寿し梅」。明治元年創業、現在4代目となるご主人の松井さんはなんと89歳。今も現役でカウンターに立たれています。促されるままにカウンターに座るとなんとお寿司がでてきました。なるほど。それでお箸を持たされたんですね!
絶妙な握り具合。美味しくいただいていると、ご主人がバランについて語り始めます。バランってお弁当やお総菜を買ったときに、食べ物と食べ物の間のしきりとして入っているあれ。
今はビニール素材でできたものが大半ですが、元々は葉蘭というユリ科の植物を使った物で、美しく造形を凝らされた飾りは、単にしきりとしてだけでなく、料理の彩りとして職人の腕を試すものでもありました。
ご主人はバランの魅力に惹かれ、日々練習を重ねられたそう。家庭でできる簡単なバランの作り方を教えてくれました。
次にきくちゃんが案内してくれたのは、なんとスナック!?中に入るといきなりハイテンションなママがお出迎え。言われるがままにはちまきを締め、鳥羽の生んだ大スター、鳥羽一郎の代表曲「兄弟船」の音楽スタート!あまりの展開にあっけにとられたままマイクを手渡させられ、とにかく歌います。話し好きのママはとっても気さくで愉快。夕食後、ちょっと飲みにこようかな。
そんなこんなで鳥羽の歴史や味覚や夜の町を一気に楽しめたこのツアー。単に観光客として素通りしただけでは分からない、鳥羽の町の魅力に触れられました。
もちろん海島遊民くらぶでは、ほかにもツアーをいっぱい用意しています。
海のツアーのおすすめは「海藻の森シュノーケルツアー」。様々な魚介類を育む栄養豊富な鳥羽の海には豊かな海藻の森が広がっています。魚をはじめ様々な生き物が住む海をシュノーケリングで体験!
また、静かなビーチで地元の食材を使ったお弁当をいただく「砂浜ランチ」や、アワビやナマコの専門問屋、食事処の自慢の一品などを“つまみ食い”する「つまみ食いウォーキング」など、趣向を凝らしたツアーがいっぱい。どのツアーも環境に配慮しており、例えば無人島には入島できる日を決めるなど、鳥羽の自然を残すための活動にも積極的に取り組んでいます。そうそう、最初に配られた割り箸も、山と海の環境を守るための間伐材を使用したもの。
どのツアーにするか迷ったら、気軽にスタッフに相談してみてましょう。きっとあなたにぴったりなツアーを教えてくれますよ。