ツアー・セミナー

おかあさんの宿を訪ねる旅 神話と世界農業遺産の地 高千穂と椎葉村 後編

田舎、老夫婦で楽しむ、自然が豊富、山間、郷土料理、料理がおいしい

棚田形式の石垣の村落 十根川重要伝統的建造物保存地区(椎葉村)

十根川重要伝統的建造物保存地区は標高 550mの山の傾斜面に開けた、棚田形式の石垣上の村落です。この地区は「椎葉型」といわれる独特の建築様式の民家とそれに機能的に隣接する馬屋、倉、石垣が樹木林と調和し素晴らしい景観を産んでいます。

平成18年12月25日に国の重要伝統的建造物群保存地域に選定されました。現在世帯数は12世帯で日本の貴重な文化遺産である歴史的町並みの保存と活用のため、地域住民を中心に積極的に取り組んでいます。

今回ガイドをしてくれた 椎葉村観光ガイド協会 会長の尾前一日出さん。ツリーハウスを作ったり、許可を取ってご神木に登ったりと「椎葉のトムソーヤ」といわれているようです。

馬屋、母屋、蔵が1セット構築される屋敷

この十根川重要伝統的建造物保存地区の特徴としては、山の斜面に段々で石垣を築いている点と、馬屋、母屋、倉が1セットで構築されているとのことです。この地域は、馬、牛の販売で大変裕福な村でした。そのため小さな村ですが、贅沢な石垣を作ることができたと言われております。そのようなこともあり、馬屋もセットとして屋敷が構成されています。

椎葉の旬の味覚とおかあさんの笑顔で心も体も大満足「フォレストピア 森の民宿 龍神館」(椎葉村)

フォレストピア 森の民宿 龍神館は、森の自然景観にマッチしたロッジ風の建物がとても素敵です。主の椎葉さんは 200町歩の山林を持つ林業家で、龍神館から見える山はほとんどが、椎葉さんの持ち物とのこと。そして、建物もほとんどが自分の山で採った木材というから驚きです。

お宿の中に入ると、焼き魚が燻される、良い匂いが玄関に立ち込めています。玄関の奥が囲炉裏になっていて、そこで魚が焼かれていました。椎葉さんにお話を聞くと、ヤマメの炙り焼きといって炭でなんと3時間30分もあぶり焼くそうです。夕食が大変楽しみになります。

  • 龍神館全景
  • 玄関
  • ヤマメの炙り焼き
  • 暖炉のある食堂

これでもかと出てくる地域の旬の恵みを使った料理

到着後、部屋に行き、少し休憩してお楽しみの食事です。早速テーブルには、どれもおいしそうな料理が並んでいます。今回の夕食で一番びっくりいたのが、「これでもか」というぐらい出てくる料理の品数の多さとそのおいしさ。それでは、この日のメニューをご紹介します。

①ナスのバジル酢あえ
②ワラビの酢漬け
③シイタケ南蛮
④豆乳の茶わん蒸し
⑤お煮しめ
⑥イワナの刺身
⑦セリのお浸し
⑧イタドリのキンピラ
⑨タケノコ、コンニャク、ブロッコリーの温野菜
⑩サンショウ味噌
⑪ムカゴ
⑫ワカサギの素揚げ

実に 22品。とにかく大満足の夕食でした。

椎葉さん、実は家族だけでなく、常連客からも「もう少し品数を減らしたらどうだ」といわれ続けてるようなのですが、こだわりとして少しでも椎葉村の旬の味覚を味わってほしいという想いで、1品1品心を込めて料理を作っているとの事でした。

  • ヤマメの炙り焼き
  • 左からシイタケのバター焼き、イノシシ肉とシイタケの外一ソバ、焼きシカ肉の香草焼き
  • 山菜のてんぷら 左から サンショウ、タラノメ、ヨモギ、ウドの葉、モミジガサ
  • タケノコご飯と葉ワサビ
  • ヨーグルトのババロア、ブルーベリーソースかけ
  • ニッキのゼリー

ジビエへのこだわり

食事で出す肉は、シカやイノシシを中心とした、ジビエにこだわっているとのこと。実際にジビエを出すとお客様はおいしいと大変喜んでくれるし、林業家として、鳥獣害の深刻さ大変さを知ってほしいと思い、少しでもおいしく料理をして出すように心がけているとのこと。

野菜、山菜へのこだわり(写真は山菜のイタドリの下処理を教えてくれている椎葉さん)

「地元の素材を使って、ここでしか味わえないものを提供したい。」とこだわりをもって野菜や山菜料理を作っているとのこと。とにかく「クセのある野菜、山菜」が好きで、その素材の良さを引き出したいと思い、日々奮闘中とのこと。おすすめの料理を聞くと「ナスのバジル酢あえ」「椎葉の刺身コンニャク サンショウ味噌和え」をあげてくれました。

たくさんの人との出会いと縁(写真は主の椎葉喜久子さん)

とにかく、農家民宿をやっていてよかったことは、人の出会いと縁が得られたことと、椎葉さんは、穏やかな表情でお話ししてくださいました。お客様と出会い、ふれあいがあり、何度も泊まりに来てくれて、つながり続けられることが何よりも幸せとのこと。旦那さんが亡くなった時も、多くの常連さんが来てくれて、とても救われるような思いだった。そんな常連さんたちとは、今では、本当の親戚のような付き合いになっていて、今の自分にとってはとても大切な存在になっていると楽しそうに語ってくれました。こんな風に人と人との出会いと縁を大切にしているからこそ、多くの人を魅了するお宿になっているんだろうなと、心から思いました。

16種類の郷土料理が大人気 西米良村「おがわ作小屋村」

「おがわ作小屋村」には年間 20,000人を超える観光客が訪れます。それは過疎化・高齢化に直面しながら、この地域に伝わる郷土料理を目玉にして、地域の特色を活かした郷土食のおかげと言われております。名物おがわ四季御膳。この地域でとれた食材を使って、この地域の人が丹精を込めて作る小川地区ならではの地産地消御膳です。16種類の小皿料理とご飯と団子汁がついています。とにかくたくさんの料理で、西米良村の自然の恵みを十分かじることのできる大満足の御膳でした。

今回の四季御膳16種類の小皿料理

左から

1段目

イセイモ・干しタケノコの煮しめ

おからの天ぷら

白和え

いかん手ダイコン・シイタケの煮しめ

2段目

おからサラダ

タケノコとヨモギのかき揚げ

自家製おがわ豆腐

千切ダイコンの酢の物

3段目

ゆず風味鹿フレーク

ゆず寒天

シイタケの天ぷら

よもぎ団子

4段目

お漬物

ノビル・地コンニャクの刺身、酢味噌かけ

大豆の煮豆

ゆず味噌

事務局長の上米良省吾さんがメニューのことやおがわ作小屋村のことを説明してくださいました。

現在、四季御膳を作っているのは、平均 74歳の地域の女性たち。 10人ほどの女性が関わっていて、 12名から 3名が当番で来るとのこと。女性たちは週に 3日程度働いて、月 10万稼いでもらえるように調整しているとのこと。

また、おがわ作小屋村では、平成の桃源郷を目指してサクラ、ハナモモ等を植えていて、植樹した樹木は、現在8500本。これからが大変楽しみな平成の桃源郷でした。

今回の旅を終えて

今回は、「おかあさんの宿を訪ねる旅 神話と世界農業遺産の地 高千穂と椎葉村」という事で、 2日間宮崎県の北西部の山間部を中心にまわりました。

平地の少ない山間部で知恵を絞り農林業や様々な仕事を行いながら複合的に、今なお継続される生活の営みは本当に感動しました。そして、その地域コミュニティーをつなぐ 1つが神楽という宗教儀式というのもたいへん興味深く感じました。

この地域に残る数々の神話や伝説は単なるお話ではなく、この地域に根付き、今なお地域の方に生活に浸透していることを強く感じ、日本の農山村文化の奥深さとたくましさを感じることのできた2日間でした。

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