2024年10月31日午後から、翌11月1日午前の2日に渡り、まちむら交流きこう主催「2024全国廃校活用セミナーin和歌山」が和歌山県田辺市の秋津野ガルテンにて開催されました。
会場には地元和歌山県内を始め全国から約30名が参加。1日目の第一部は和歌山県内の「福祉」「移住就業」「交流」をテーマとする3カ所の事例報告が披露され、2日目の第二部では、3人の有識者による「食農価値共創・域学連携」「SDGs・農村ツーリズム」「コミュニティビジネス・農村RMO」をテーマに、地域づくりの在り方を学びました。
当機構では、2012年度より全国の廃校活用に係る情報収集や現地調査を毎年実施し、「全国廃校活用MAPの公開」、「まちむらnote テーマ別事例紹介」、「里の物語 廃校活用施設紹介」等による各種情報提供を行っております。
それら情報をもとに、【全国における廃校活用の取り組み】と題して、「全国における廃校の推移と活用の状況」、「和歌山県における廃校の推移と活用の状況」、「全国における最新のテーマ別(教育・福祉医療・生産製造・地域振興・宿泊等)活用例の紹介」を行いました。
旧市鹿野小学校(2017年閉校)を福祉事務所及び宿泊研修施設としてリノベーションし、2021年に「障がい者就労支援ハピラブ」、「廃校ホテルNeastSide」がオープンしました。
開設運営は、一般社団法人み・ゆーじ(貸付)により行われています。
一般社団法人み・ゆーじでの事業内容として、【福祉事業】では「障がい者就労支援ハピラブ(就労継続支援B型事業所)」「パピラブ訪問介護(居宅介護)」の運営、【宿泊事業】では「廃校ホテルNeastSide」の運営、【飲食事業】では「カフェハピラブ」の運営、【地域活性化事業】では地域課題に対する各種協力・支援を行っています
旧城山西小学校(2017年閉校)を移住就業支援施設としてリノベーションし、2023年に「有田川町移住就業支援拠点施設しろにし」がオープンしました。
開設(整備)は有田川町が行い、運営は一般社団法人しろにし(使用許可)により行われています。
一般社団法人しろにしでの事業内容として、【地域の人事部】では「しろにしサポーターズ」「地域維持レスキュー(ぶどう山椒収穫レスキュー/ぶどうの花切りレスキュー等)」「遊び暮らし体験」等の取り組み、【施設運営】では「ふたがわ寮」「ドリトリー」「井戸端カフェ」等の運営、【過疎地型事業創出】では「デザイン業務」「コンサルティング」等を行っています。
旧太田中学校校舎(2000年閉校)を交流拠点としてリノベーションし、2016年に「交流センター太田の郷」がオープンしました。2024年には、旧講堂を酵食品の加工場や地域内外との交流、新規営農者育成の拠点としてリノベーションし、「ホールくまのざくら」がオープンしました。
開設運営は、太田寄合会(建物譲渡、土地貸付)により行われています。
交流センター太田の郷での事業内容として、【Ⅰ 食文化の伝承・地産地消の推進】では、「食事処太田川のめぐ味の開設」「直売所の開設と運営」の取り組み、【Ⅱ 施設利用と食事を介した高齢者の予防介護】では、 「高齢者いきがいづくり事業 (福祉プログラム)」「地域交流活動支援事業 (地域内外高齢者交流)」ま取り組み、【Ⅲ 地域との連携・協力による太田の郷の魅力づくり】では、「各種ワークショップの開催/施設貸出」「各種イベントの開催」の取り組み等を行っています。
トークセッションⅠでは、【食農価値共創と域学連携】と題して、「域学連携の姿と視点」と「大学における地域貢献」、「食農センターの取り組み」、「上秋津と和歌山大学との連携」等についてお話をいただきました。
<プロフィール>1977年生まれ。兵庫県伊丹市出身。和歌山大学経済学部卒業後、大阪府立大学大学院農学生命科学研究科、関西計画技術研究所、田辺広域市町村圏健康・観光産業クラスター推進協議会を経て、2013年より独立行政法人水産大学校専任講師に着任。2016年、和歌山大学地域活性化総合センター食農総合研究所に着任。2024年現在、学長補佐、紀伊半島価値共創基幹副基幹長、地域協働ネットワークセンター長、地域協働ネットワークセンター地域力創造支援室長、食農総合研究教育センター長を務めている。専門は、地域づくり戦略論、食品流通論、都市と農山漁村の交流・協働。
トークセッションⅡでは、【地域課題を解決するツーリズムの展開】と題して、前提としての「都市と田舎の関係性」と「SDGsを基本に農村を考える」、「地域の自然・文化の持続的環境=ソーシャルイノベーション」、「農山漁村の価値の創造=旅人と受け入れ側双方の感動・共感・学び」、「風土(Food)ツーリズム」「サスティナブルツーリズム」、「DH(デスティネーション・ハブ)を創る=集落連帯型共同体づくり」等についてお話をいただきました。
<プロフィール>1952年生まれ、長野県飯田市出身。長野県飯田市役所に勤務し、産業経済部エコツーリズム推進室長、企画部企画幹等を歴任し、ワーキングホリデーいいだ、南信州あぐり大学院、南信州観光公社等の飯田型ツーリズム事業の仕組みづくりに尽力し、2008 年退職。同年、「CRC合同会社地域再生診療所」を開設し、代表執行役に就任。国の観光カリスマ百選(内閣府/国土交通省)、地域活性化伝道師(内閣府)、地域力創造アドバイザー(総務省)を歴任し、観光・ツーリズム・6次産業化・雇用創造・中山間地域振興等をテーマに全国各地にて講演・助言指導を行っている。
トークセッションⅢでは、【地域づくりからコミュニティビジネスへ】と題して、「変わりゆく農産物の販売環境=コミュニティビジネスの出番」、「農産物に付加価値をつけよう時代=6次産業化時代」、「地域の資源を全て活用していきたい=廃校活用・都市農村交流での地域活性化と農業理解」、「どうして秋津野は地域づくりを持続させられたか」等についてお話をいただきました。
<講師プロフィール>1955年生まれ。和歌山市田辺市出身。大手の農業機械販売会社を退職後、家業の農業を継ぎミカン・柑橘、梅を栽培・販売する専業農家となる。地元JA紀南青年部パソコン班の一員として、農業情報利用の研究および先進的農家との情報ネットワーク化を図る。1999年、柑橘と梅の産地である秋津野地区有志で秋津野直売所「きてら」を開設。2006年、秋津野直売所「きてら」の年商1億を契機に「農業法人株式会社きてら」を設立、法人化により事業の継続性を高める。2008年、旧上秋津小学校校舎を活用した都市農村交流施設「秋津野ガルテン」の整備に伴い、地域内外から出資を募り、「農業法人株式会社秋津野」を設立する。2024年現在、「農業法人株式会社きてら」代表取締役副社長、「農業法人株式会社秋津野」代表取締役社長、「秋津野地域づくり協議会」会長を務めている。
本セミナーの会場受入れにご協力いただきました木村則夫氏(株式会社秋津野代表取締役社長)より、ご挨拶をいただきました。
秋津野ガルテンを会場とした廃校活用セミナーは、今回を含め計3回(2012和歌山、2019和歌山、2024和歌山)の開催となり、また、木村氏は、計2回(2019島根、2022福井)のセミナーにご参加いただき、多大なご貢献を賜っております。
横尾修一氏(月影の郷実行委員会会長/新潟県上越市)より、中締めのご挨拶をいただきました。
横尾氏は、今回の廃校活用セミナーを含め計6回目(2016山形、2017島根、2018長野、2019和歌山、2022福井、2024和歌山)の参加となり、また、北陸地区を対象とした2013新潟のセミナー開催会場としてご協力をいただき、多大なご貢献を賜っております。
交流会開催後、自由参加による「夜ゼミ」を開催しました。
第一弾のトップバッターは、井上弘司氏(CRC合同会社地域再生診療所代表)より、「地域経営とその具体的取り組み紹介」と題してお話をいただきました。
第二弾は、小林和彦氏(NPO法人やんばる地域活性サポートセンター事務局長/元地域おこし協力隊サポートデスク統括相談員)より、「都市から農山漁村への移住の変遷と地域おこし協力隊の取り組み紹介」と題してお話をいただきました。
第三弾として、本セミナーに参加いただいている4ヶ所の廃校活用施設を運営している方々より、取り組みの近況についてお話をいただきました。
◆正垣直人氏より、「FOREST DOOR旧神楽小学校(旧神楽小学校/兵庫県丹波市)」の取り組みについて
◆菊川健一氏より、「アグリミュージアムNADA(旧灘小学校/兵庫県南あわじ市)」の取り組みについて
◆大門正悟氏より、「坂井市竹田農山村交流センターちくちくぼんぼん(旧竹田小学校/福井県坂井市)」の取り組みについて
◆横尾修一氏より、「宿泊体験交流施設月影の郷(旧月影小学校/新潟県上越市)」の取り組みについて
最後に、全国廃校活用セミナーin和歌山の開催に係る参加者の皆様、講師の皆様、受入にご協力いただいた秋津野ガルテンスタッフの皆様、後援いただいた和歌山県農林水産部農業生産局果樹園芸課の皆様、裏方のまちむら交流きこうスタッフに感謝し、閉会とさせていただきます。
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