長崎県西海市を走る峠の真ん中に、直売所「よかところ」が開設されたのは平成6年。長崎県下で最も早い時期に開設され、後に続く直売所が一度は見学に訪れた店とも言われています。
生産者15名が運営組織を作ってスタートし、約120平方メートルの売り場は自分達で建築・改修を重ねて今も現役です。「地域の女性や高齢者が収入を得られる売り場にしたかったのはもちろん、当時の峠は店もなく、夜も真っ暗だったので、通る人がほっとできる場所を作りたかった」というのが、組織を率いる鉢川光秋さん((株)よかところ 専務取締役・事務局長)など開設者達の想いです。
店の年間売上のピークはみかん最盛期の12月で、夏場の2倍も売り上げています。年末年始の贈答用需要は、家庭用のみならず、企業からのまとまった注文も増えていているほか、会員の農家が作る昔ながらの郷土の菓子や惣菜も人気です。
加工施設も飲食施設も持たず、店での直売だけですが、固定客が多く、競争のあるなかでも開設以来客数も売り上げもほぼ横ばいを維持し続けています。
登録する生産者会員の最高齢はなんと95歳。店では高齢出荷者に敬意を表し、毎年売り上げのあった80歳以上の会員を表彰し、功労金を出して生き甲斐にしてもらっています。何もなかったかつての峠道が、「よかところ」の開設をきっかけに、今では西海エリアの観光・交流拠点として賑わっています。