農家民宿

古民家で味わう庄内・鶴岡の食・歴史・農風景

伝統野菜、郷土料理、料理がおいしい

お米が一番のごちそう

 古民家の玄関を上がって部屋に入ると、まず目に入るのは、大きな窓の外に広がる美しい田園風景。庄内を吹き抜ける風が、田の稲たちを爽やかに揺らしていました―。

 築130年の自宅を改装したという農家の宿「母家(おもや)」。室内は、高い天井の下、落ち着いた色合いで統一された家具が並び、趣ある空間が広がります。運営するのは、この地で30年以上前から有機栽培の米作りを続けてきた小野寺農園。ここでは、自前の有機栽培米をはじめとし、すぐ隣の田んぼや畑で手をかけて育てられた有機野菜を存分に味わうことができます。

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 お話をお聞きしたのは、2013年からこの宿の若き二代目当主を務める小野寺紀允(のりまさ)さん。2009年に神奈川からUターンして地元鶴岡に戻り、実家の農園と宿で働き出しました。

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 ここへ来たお客さんが言うのはなにより「お米がおいしい」ということ。自身の農園で土作りからこだわって栽培したお米はツヤツヤと美しく、1粒1粒にしっかりと味の乗った格別の美味しさです。

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 お子様連れのお客さまからは「子供が家でこんなにご飯を食べるのを見たことない」と驚かれることもあるのだとか。

 「お米はものすごく鮮度が大事なもので、精米すると酸素に触れて、その分劣化スピードも上がってしまう。ただ、そういうことを知らずに美味しくないお米を食べているお客さんも多い。せっかく庄内には美味しいお米がたくさんあるのだから、それは伝えていかなくちゃいけないと思うんです」と小野寺さん。

 さらに、「だだちゃ豆にしたって、もともと新潟から伝わったというその歴史や特性を、地元の人ですら知らないことが多い。でも、ただ食べるだけじゃなく地域の食についてもっと知ってもらいたい、伝えたいという思いがあります」。そう力強く話しました。

 「母家」では、農産物の特性や食べ方などの食に関する話だけでなく、この地域の歴史や文化にいたるまで、小野寺さんからいろんなお話を聞きながら、美味しいご飯をいただくことができます。ただ食べるのでなく、それを生産・調理した本人から活きたお話を聞くことで、いただくご飯の美味しさや地域の個性がより一層豊かに感じられます。

 また希望する方は、朝起きてからすぐそばの畑に出れば、朝食の準備をする小野寺さんと一緒に農産物の収穫をすることもできるとのこと。

食を通して子供と地域をつなげたい

 「母の作るものを食べて育ったことは自分にとってとても大きなことでした」。

 今ご自身で料理を作れているのは、その経験があったからこそだと実感するそうです。だからこそ、最近は「小さなうちからの食育の大切さ」について考えるようになったのだとか。

 ここでは民宿だけでなくレストランの営業もしており、近年地元の子供連れのお客さまがぐっと増えたそうです。化学農薬や化学肥料を一切使わずに育てた自前の食材で作られた料理は、食に敏感なお母さん世代にとって、とりわけ大きな安心感があることでしょう。もちろん鮮度も抜群。観光客だけでなく、地元の人たちからも愛される空間がそこにありました。

 「子供たちが地元のものを食べる時間が多ければ多いほど、郷土愛って育つんじゃないかなと思うんです」と語る小野寺さん。毎日庄内の豊かな食材をふんだんに使った家庭料理を通して、未来を作る地域の子供たちを育てています。

「昔と比べ、地域コミュニティがなくなった今という時代だからこそ、食で地域と子供をつなげたい、そういうものを提供できる店でありたい。それがうちの役割かなと思っています」。

旬の食材を味わいながら季節を感じる

 小野寺さんが神奈川からこの地に戻ってきたのは2009年のこと。地元に戻ってから、自分が一番何をやりたいか悩んで出た答えは「人に喜んでもらえること」。それを考えた時に、自分で作ったものを目の前で食べてもらって、喜んでもらえるというこの仕事こそ、自分が求めていたことなのだという答えに行き着いたと話してくれました。

 「(お客さんには)せっかくこの地域に来た(いる)のだから庄内の『旨い』を知ってもらいたい」。そう語る言葉からは、庄内地域への強い思いが伝わってきました。

 提供する料理については、「季節ごとに食材が変わるので、毎日がスペシャルな料理です」とにっこり。旬の食材を食べながら季節を感じられるのも、母家で味わえる大きな喜びの1つです。

 取材日のお料理は、キャベツときくらげの塩麹炒め、インゲンと人参の胡麻和え、茄子と長芋の揚げ浸し、庄内豚とほうれん草のしゃぶしゃぶなど、旬野菜を中心に、どれも素材の味が生きたやさしい味付け。彩も豊かで、庄内の豊かな土壌で育った農産物のエネルギーをそのままいただいている気がしました。

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 ゆったりと流れる時間の中で見渡す農村の風景、窓から吹き抜ける庄内の風、鮮度あふれる農作物を使った家庭料理、農家との対話―。母家には、豊かな時間を過ごすことのできる十分な材料がしっかりと揃っていました。

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